大東文化大学の渡辺雅之さんを講師として6月28日に東松山で行われた表題の学習会に参加しました。

学習会に興味を持った点は2つあり、特別の教科として新たに始まる道徳について、問題点を確認したいことと、どうやったら子育て中の親世代に集まってもらえるのかということです。

参加して一番ショックだったのは、「ひつじかいのこども」(イソップ寓話のオオカミ少年)の話でした。教科書では「うそばかり ついて いると、どうなるか かんがえて みよう。」と子どもたちに考えさせています。そのどこに問題があるかと渡辺さんから問われた時に、どこかの首相に聞かせたいというぐらいしか思いつかなかったからです。

例えば、うその訳や背景、うそとは何かを子どもたちと対話すること。少年は本当はさみしかったのではないかとか、羊はどういう気持ちであったか、大人が残酷なのではないかなど、子どもたちと話をすること。「うそも方便」ということもあること。

なるほど。

自分の頭が、「うそはいけない」ということに凝り固まっていることに気が付きました。

それ以外にも、東日本大震災の時に津波から避難するよう最後まで呼びかけた女性のことを、個人の美徳として取り上げている「天使の声」のような教材でいいのか。役場の場所の是非や、災害時における放送方法など災害対策の本当の問題が見えなくなってしまうのではないか。

「はしのうえのおおかみ」という話では、なぜ橋が一本しかないかを問わずに、個人の心構えで解決しようとするのか。

文科省は「考え」、「議論する」道徳を実施したいそうですが、それはあくまでも文科省が考えている範囲であることが分かりました。

表題の「いじめの解決に『道徳』は有効か」という観点では、「いじめ防止対策推進法」が制定されるきっかけとなった飛び降り自殺事件が2012年にあった大津市の皇子山中学校は、2009年から2010年まで文科省の道徳教育実践事業推進校だったそうです。

また2010年には、「過度に競争主義的な教育制度が「いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺」につながることを懸念する。」と国連子どもの権利委員会から勧告がだされています。

根本的な問題に目を向けずに小手先のことを考えているのではないかと思います。それは決して私も例外ではないと肝に銘じます。

二番目の関心事については、保育園や幼稚園時代からの知り合いが多く参加しているからと聞きました。それに加えて、道徳教育が子育てをしている保護者が直面している問題だからということもあると推測しました。

 

未来へのタネまき学習会「どうなるの? 日本の公教育。 いじめの解決に『道徳』は有効か」に参加しました

未来へのタネまき学習会「どうなるの? 日本の公教育。 いじめの解決に『道徳』は有効か」に参加しました」への1件のフィードバック

  • 2017年7月1日 1:43 PM
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    小学校に子どもが通っている保護者です。
    「道徳教科化」について、?を感じている保護者がとても少ない事も気掛かりです。保護者である大人自身が、「学校のやる事 いう事に間違いはない」とどこかで盲信している面も感じられます。
    渡辺先生もおっしゃていましたが、道徳教科化には、現場の先生の大半が疑問や、指導できるのか? どう評価するのか? 戸惑いや不安があるとのこと。
    一方、保護者からは賛成意見が多いとの事も考えさせられました。
    学校(先生)に求める事が増え続け、肥大化している事の問題もあるように思いました。

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