8月14日に国分寺のカフェスローで行われた田中優さんの天然住宅の話を聞きに行ってきました。(天然住宅×カフェスロー)
以下、田中さんの話を私なりにまとめました。途中のURLは私が探して挿入したものです。
日本は豊富な森林があるにも係らず、東南アジアで熱帯材を伐採してきていた。伐採したあとにアブラヤシプランテーションができるなど、現地の人びとの生活を奪っている。日本が輸入した熱帯材の多くは、ベニヤ板となり、コンクリートパネルとして使われ、ゴミになって捨てられる。熱帯材の輸入は問題だと抗議されたため減ったが、例えば、シベリアからの木材輸入は、伐採によって太陽光が届くようになり、永久凍土が溶けて、閉じ込められていたメタンガスが地上に噴出することも懸念されている。
日本は世界有数の森林大国だが、輸入材に頼った結果、木材の価格が下がり、人工林の手入れがされなくなってきている。「天然住宅」では、森を守っ ていく持続的な仕組みを作りたいと考えている。日本の森林率は高いので、植林より、適切な価格で木を買い、適切に利用していくことが大事だ。木の成長には 50年以上かかるので、木造住宅が30年で立て替えられては、森林は枯渇してしまう。「天然住宅」では木材をたくさん使い、寿命300年の住宅を目指して いる。
木材は薫煙乾燥し、仕口(しぐち、しくち:2つ以上の部材を組み合わせ、接合する方法、もしくはその接合部)まで作ってもらっている。木の上下、 南北まで立っていたときの状態に合わせ、住宅を建てている。通常は100万円ぐらいの木材費が400万円ぐらいになるが、これが山側の収入になる。
通常の住宅ではホルムアルデヒドなどの有害化学物質が多い。人間が生涯に摂取する物質のうち、重さベースで半分以上を自宅の空気から取り入れてい るので、まず家の中の空気を改善しないといけない。「天然住宅」では、防腐防虫処理をしない国産の無垢材のみを使用し、有害化学物質を全く含まないものだ けで建てる。
建物の基礎となるコンクリートも、含水率を50%以下にし、寿命を300年以上としている。(通常は65%の含水率で、50年しかもたない。)
「天然住宅」では、この仕組みを実現するために宮城県の栗駒木材と提携している。栗駒木材では経営が楽ではないにもかかわらず、産業廃棄物業者に 買われそうになった山を8000万円で購入して守ろうとしている。そこでは間伐の体験などができる森林教室を開いており、今年から「皮むき間伐」という方 法を試みている。皮むきされた木は、立ち枯れして葉が落ち、間伐した木が立った状態で乾燥し、軽くなって持ち出しやすく、きれいな材を得ることができる。 天然住宅を建てたい人を資金面から支援するために立ち上げた「天然住宅バンク」では、この栗駒木材に実質無利子で融資して支えたいと考えている。
栗駒木材(株)
天然住宅バンク : コモンズの森を作ろう!
通常、木の皮は産業廃棄物となるが、さいかい産業というところのペレットストーブは、木の皮を含んで木材すべて燃やせる。重油より安いので温室にも使えるのではないか。
地域経済というのは、地域の資金量×回転数で決まる。地域には資金を残し、回転数を高くすることが大事だ。足立区の商店街では、35校の学校給食 の食材を請け負い、それを商店街の中でまかなっている。また、敬老祝い金を現金ではなく、地域の共通商品券で配ってもらい、年間4億円のお金が地域を回っ ている。森では、竹害といって木より竹が勝ってしまうが、竹を粉にすると乳酸菌発酵が進み豚の餌にできる。また畑のボカシにもなる。耕作放棄地に豚を放す と、3週間もあれば草を全部食べてくれる。(株)アミタでは、森林の中で牛を放牧して下草を食べさせる山地酪農をしている。輸入の配合飼料は使っていな い。特用林産物である椎茸などでも山を復活することができないか。
足立区の東和商店街
(株)アミタ 森林の牧場 (現:森林の牧場株式会社)
以下は私の感想。
田中さんは、画面を使って一気に話されたので、とてもここでは紹介しきれませんが、これから何をしていけばよいかヒントがたくさんあったと思いま す。最近知ったのですが、私の団地のまわりの林に、きのこが豊富に自生しているそうです。八王子は森林が広いので、いろいろな可能性が沢山あると思いま す。
このイベントで歌ってくれた星野さんののびやかな歌と語りもよかった。