1日目の夜は、沖縄タイムス社の論説兼編集委員である屋良朝博さんの話でした。


 沖縄にこだわっているのは誰だ。


<沖縄の基地>

2002年の統計によると、アジア太平洋には10万人の米軍がいて、その4分の1である25000人が、「同盟国」5カ国の面積比0.025%の沖 縄に集中している。日本政府は抑止力が大事といっているが、それが本当だとすると沖縄の海兵隊、8000人がなぜグアムに移転できるのかが判らない。

海兵隊のもっているヘリでは、せいぜい、沖縄から徳之島に行くのが限界なため、移動には船が必要だが、その船は佐世保にある。もし朝鮮半島で有事が あれば、佐世保から船が南下して沖縄に来て海兵隊員を乗せ、折り返して北上して朝鮮半島に向かうことになる。そのことを防衛省の守屋元事務次官が収監され る前にインタビューしたが、わかっていなかった。

鳩山さんは首相のとき、仮に沖縄の部隊をセットで持っていくなら移転の可能性があると言ったが、セットをばらした時にどのように対応するかは、軍隊が考えるもの。

アメリカ側に取材したところ、日本本土含め総枠で変わらなければ、沖縄でなくともよいといっている。


<イタリアとの比較>

イタリアにあるアメリカ軍基地は、人家の少ないところに設置されている。飛行は、人家を避け、また時間帯も配慮されて行われている。

管制塔にはイタリア軍の管制官が必ずいる。

アメリカ軍の飛行機が低空飛行訓練を行って、ゴンドラのロープを切ってしまい、20人が死亡するという事故があった。このときに、イタリア軍警察は パイロットの身柄を確保し、殺人罪とテープを消去した証拠隠滅罪で取り調べている。飛行機も偵察機であったため、アメリカ側から返還を要求されたが応じな かった。イタリアはアメリカ軍基地を提供していても主権を渡していない。

イタリアには、アメリカ軍の地位協定とは別に基地使用協定がある。アメリカも柔軟に対応しているのが現実である。



<追記>

屋良朝博さんには、「砂上の同盟」という著書があります。 Pa25004810 海兵隊グアム移転の理由を知りたいということで、2007年に沖縄タイムス社を1年休職して、ハワイ大学の研究員として留学したときの関係者の証言を主にまとめたものです。

これによると、海兵隊がグアムに移転するのは、「政治がそう決めたから」とのことです。

グアム移転が決まる前には、本土への移転も検討され、キャンプ座間や佐賀空港への移転案があったそうです。佐賀空港への移転案に対して日本政府の担当者はただ黙って聞いているだけで返事はなかったとのことです。

屋良さんは、過去1997~8年に防衛庁取材を担当しており、そのときの高官から「沖縄でなくても海兵隊は機能するのは事実だ。しかし、いまさら米 軍を本土に移転すると日米同盟が崩壊しかねない。60年、70年の安保闘争が再来する。日本はそうした政治的リスクを抱えることができないのだ。」といわ れたそうです。

これは、次のダグラス・ラミスさんの話につながると思います。

沖縄からの宿題(2/4)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です