横浜市の長津田駅は典型的な住宅街の駅ですが、そこから20分も歩くと畑が広がっています。この場所で有機農業を営んでいる人と、農作業を取り入れている福祉作業所の話を聞く機会がありました。

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長津田駅方向を見たところ

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雑草が多い右側も畑

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午前中は援農。草取り前

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草取り後

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昼食はハンモックカフェ

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今日のメニューはこれ

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ハンモックの周りで

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カフェの近くのな~に谷っ戸ん田

Ⅰ 都市の新規就農者 Oさんの話

大学時代に共同耕作サークルに入り、後述する「グリーン」でボランティアとしても活動した経験のある世田谷出身のOさんは、沖縄に行き農業法人で働 き始めました。しかし、大消費地でないと無農薬の野菜の需要が少ないことがわかり、1年ほどで沖縄から横浜へ来て、野菜を生産販売するようになり、5年ほ どで認定就農者として認められます。

参考:認定就農者制度(神奈川県)

横浜市で認定就農者になるのは狭き門で、また当初は、住居と複数ある畑が離れており、「農村」に入っていくことも難しかったようです。現在は、グ ループホームでも週3日働きながら有機農業を営んでいる、「半農半福祉」の生活です。障碍をもった「グリーン」の仲間とも将来は農作業をすることと、農業 経営を安定させることを将来像としているとのことです。

Ⅱ グリーン

自閉症やダウン症などの障碍があって養護学校を卒業した青年達に対して福祉サービスを提供している 「グリーン」 では、田畑1町歩ほど借りています。その所長である石田さんは、この地域で育ち、青葉台が開発されていくのを目の当たりにしてきました。地元の農家が農業 を続けていくのは厳しく、1993年に作業所として設立された「グリーン」は、耕作が難しくなった農地を借りて無農薬で農作物を育て、農家の信頼を獲得し ながら徐徐に拡大してきています。

残念ながら土曜日だったため、障碍をもった仲間たちには会えませんでしたが、手のつなぎ方一つにしても、全面的に寄りかかられてはますます出来なく なるので、何かあったら寄りかかってもいいから自分で歩きなさいという接し方をしているそうです。学校時代に毎朝必ずおしっこを漏らす人だと申し送りされ てきた人が「グリーン」に来て、おしっこを漏らしたことは1回もないとのことです。その人がなぜ漏らしているかを考えて対応しているためです。

学校時代は、落ち着きがなく指示を理解して動くことのなかった仲間でも、堆肥の天地返しのように身体を大きく動かすことを通して参加できるようになり、種播きのような細かい作業も少しずつ参加でき、いつの間にか頼りにされる職人になります。

堆肥を運んで汗を流すことが、仲間たちのその日の気持ちを落ち着かせてくれることを、「グリーン」では「アースされる」と表現しています。不機嫌で 目がつりあがっていたり、奇声を発しながらジャンプをしていたとしても、堆肥を運んでいるうちに落ち着いて、つりあがっていた目がたれ目になります。

こうして、土地を提供してくれた地主さんは、農地が荒れずに済み、「グリーン」の中間たちは生き生きして働くことができ、収穫も得られるという関係をつくることができます。収穫したら、直売するのと、ケアプラザや給食会社に販売しているそうです。

石田さんが書いた本、「耕して育つ 挑戦する障害者の農園 」(コモンズ)には、『グリーンの仲間たちがヤマや野良で働く日々がある。それは、「障害のある人のための療法」としての日々ではない。人があたりまえに 生きるための労働だ。』とあり、人間にとって何が大事かを考えさせられます。長い間の活動の中には大変な苦労もあったと思いますが、さらっと書かれている のも大変なことだと思いました。

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通路は、田植えのときに苗床を置く工夫をしているため

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落花生畑

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ゴマ

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かぼちゃは豚のえさになる

横浜市は、市民利用型農園促進特区になるなど農業が盛んな都市です。改めて八王子市との比較をしたいと思っています。

市民利用型農園促進特区
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kouzou2/kouhyou/030908/014.pdf

横浜市環境創造局農地・農産物・直売所
http://www.city.yokohama.jp/me/kankyou/nousan/

横浜市の事例から(有機農業と福祉)

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