PARC(アジア太平洋資料センター)が主催したグアムツアーに行ってきました。
グアムはもともとチャモロの人々が住んでおり、スペインやアメリカ合州国、日本に侵略されてきました。現在はアメリカの準州という扱いですが、植民地といったほうが正確だと、今回のツアーで改めて認識しました。
<保育園>
グアム側での案内をしてくれたホープさんは、アメリカ本土よりグアムの方が85%も癌による死亡率が多いということや、中国人や韓国人の労働者によって職が奪われているという話をしな がら最初の目的地である保育園に向かいます。この保育園のように全日チャモロ語で教えているところはグアムに二カ所しかないそうです。
3歳と4歳の子どもたちが迎えてくれた。隣の部屋には、2歳以下の子どもたち
グアムには小学校は26校あり、一日30分だけチャモロ語を教えているそうです。若い両親がチャモロ語を話せなくなっているので、ここで教わった幼児が家で両親にチャモロ語を教えているというのが現実です。
グアムの国歌や保育園の歌など子どもたち自身が選んだ歌を披露してくれます。
この保育園を立ち上げたのは、チャモロ語を話す最後の世代であるリンさんです。
赤いスカートをはいているのが、保育園を立ち上げ、オーナーでもあるリンさん。リンさんと向かい合っているのがホープさん。
子どもの親の世代が、チャモロ語を話すのはプレッシャーを感じるとのことです。親たちに、大人向けのチャモロ語教室の希望を聞いたところ好評なの で、来月から教室を開く予定です。リンさんとしては、チャモロ語を教え、米軍基地拡張に対してチャモロとして答えていきたいと思っています。このまま何も しないと、100年ぐらいでチャモロ語がなくなるという危機意識もあります。
子どもたちは保育園の中ではチャモロ語を話し、外では英語と闘っています。ここの卒園生は、チャモロ語を話しているそうですが、子どもたちの親である、リンさんやホープさんより若い世代は、チャモロ語を話すと成功しないといわれて育ってきたそうです。
リンさんやホープさんなど、チャモロ語が母語の人は、落ち込んだ時に自分の深い気持ちを伝えたいときはチャモロ語でないと表現できず、それに対して子どもたちは英語しか話せないという問題も起こっているといのことです。
<車の中>
保育園を離れて、車の中でホープさんの話は続きます。
もともとはチャモロの土地だった公園の土地を売却するのにも、米政府からは中国人など他の移住者とチャモロが同じ扱いを受けています。本来ならチャモロの人々が決めるべき、移民政策もコントロールできないでいます。
米軍基地を建設するにもチャモロでなく、中国人の建設労働者を連れて来ているそうです。
中国人向けアパート
車に乗っていてすぐにわかるのは、道がでこぼこしていて整備されていないことですが、他のインフラとして、水道や電気も状態が悪く、外国人が流入することによってもっと悪くなるのではないかと危惧しています。下水なども十分な浄化をせずに、海に流しているそうです。
グアムでは、好むと好まざるにかかわらず、米軍が最大の雇用先になっています。
昼食は肉のどんぶり。奥のジュースは、ホープさんのところの柑橘類(名前は忘れた)を使ったもの。おいしい。
<虐殺現場>
次に向かったのは、アジア太平洋戦争の時、日本軍司令部に協力したチャモロ人を日本軍が連れてきて最後に虐殺した現場です。最近できたばかりで、日本人でここに来たのはおそらく最初だろうとのことです。
雨季で、広い範囲が水たまりになっているので、近くにいくのはやめた。RIP(Rest In Peace)と書いてあるようだ。
<慰霊碑>
対照的なものが、次の慰霊碑です。最初は、日本人だけの慰霊碑を作ろうとしましたが、アメリカの退役軍人からクレームがあり、全戦没者を対象にしたものにしたそうです。
手前には、遺留品などが展示してある。日本兵のものばかり。「英霊が栄光を賭けて得た尊い平和に感謝を捧げましょう」とある。
クレームがついて、全戦没者を対象にしたといってもこのような展示がしてあると、日本のことしか考えていないことがよくわかります。
<収容所跡地>
次に向かったのは、マネンゴンというところのチャモロ収容所跡地です。住民にとってはつらい記憶がある場所とのことで、食べ物や水がないところに、日本軍は数千人を収容したそうです。当時このような場所が3ヵ所あったとのこと。
2003年ごろに、グアムで戦後補償運動が盛り上がり、その証言を聞いて収容所の記念碑ができたとのことです。
裏から見たところ。天に昇って行くような絵だ。
虐殺の現場に比べると、説明書きもあり、周辺も空地になっているので、整備されているのでしょうが、十分とは言えないと思いました。
<米軍による環境影響評価の説明会>
米軍が訓練することについての環境影響評価について、米軍から説明があるとのことで、訳も分からずに会場の高校にいきました。
5年前にも環境影響について評価されていますが、訓練域を拡張するために新たな評価を行うということらしく、海軍がどういう訓練をしたいかを説明し ています。原子力潜水艦でソナーを使ったり、魚雷を使うようです。これを評価するにあたってパブリックコメントを求めています。
緑色に見えるところが訓練域。沖縄からも近いことが分かる。国連海洋法条約で、公海上の訓練が認められているとのことですが、アメリカ合州国は批准していません。
この訓練によって年160回、海域が閉鎖されるということで、閉鎖の72時間前には海域の漁業者に連絡がいくということです。
この説明は2回目で、1回目は高圧的だったとのこと。抗議を受けて、今回はソフトに。我々が密かに石田純一と呼んだ一番右に立っている男性が説明の進行役。専門的な質問が来ると後ろに立っている人に振っていた。
ちょうどホープさんの娘さんも来ていて、訓練しないということを考えたことがあるかどうか質問していました。有無を聞いているにも関わらず、米軍側 は訓練を正当化する発言に終始したため、質問に答えていないと一歩も引きません。結局、パブコメに出してほしいということで終わりました。
米軍から説明を聞くなどという機会は、今までになかったし、これからもありそうにないですが、非常にソフトな振る舞いをしていました。これでは、自覚していない人が騙されてしまうのも分かる気がしました。
<帰りの車の中>
返還された軍の廃棄物置き場を通った時にホープさんの説明によると、この場所で地面を掘ると途中で土の色が変わるそうです。そして、ここでは癌が多いとのこと。残念ながら写真はありません。
当時のコメントを平文で掲載します。
————————————————–
八王子市民なので、強い関心を持って拝見しました。 (ラビット)
2011-11-01 04:07:39
グアム等は沖縄の基地の移転先とされていますが、チャモロの住民たちの
抵抗も知ることが出来ました。
過去の記事も拝見させて頂きます。
ラビットさん、コメント有難うございます。かつて… (DongDong)
2011-11-02 00:41:28
ラビットさん、コメント有難うございます。かつての私がそうだったのですが、グアムはアメリカだと思っている人が多いと思います。微力ですが、そうではないということを伝えていきたいと思っています。(あと3日分あります)